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れいりえ中心に大好きな音楽とかストレートに書くよ

LIVE REPORT BRATS No.2【HUGロックフェス】

未だに興奮冷めやらぬライブパフォーマンス。

 

 産声をあげたBRTASの二回目のライブが行われる渋谷のライブハウス群を会場とするサーキットフェス、HUG ROCKフェス。女性シンガーソングライターがメインであるこのフェスにガールズロックバンドBRATSが出演した。先日池袋ROSAで行われたBRATSの復活ライブで虜になってしまってその姿をもっとしっかりと目に焼き付けたい熱狂的なファンがWWWの開場時間13:30の1時間も前に列をなす。BRATSの出番は15:30にもかかわらずだ。中には池袋ROSAに参戦できなかったため名古屋からBRATSのライブの為だけに駆けつけたファンの姿も。彼らはWWWの2柵前に陣取りコバルトブルーの今は貴重となったBratsタオルを柵にかけTシャツを着て出番を待っている光景を見て、本当にみんなが待ちに待ってたBRATSの復活なんだなと実感。

転換中のバンドリハも体験することができるフェスは復活間もないBRATSの少ないライブの数を考えればとても貴重な機会だ。BRATSの出番の為に開場から駆けつけたファンだけではなく、黒宮れい(Vo)の名前をどこかで聞いて「どれ、お手並み拝見といくか」物見雄山的に他の会場から回すシンガーソングライターのファンの人たちがWWWに続々と集まる中にバンドセッティングは淡々と進む。その姿はまさに儀式だ。打ち鳴らされるぴろしきさん(Dr)のドラムを聞くと会場の静けさとの対比がより一層鮮明になり場内の空気がピーンと張り詰め緊張感が一気に高まる。それを最前の柵にもたれ背中に感じながらセッティングの様子を眺める時間はライブに向かう至福の時間だ。キックの心地よいリズムを全身で浴びながら安心感を味わう中で、あや(Ba/Cho)、ひなこ(Gt/Cho)がエフェクターボードを丁寧にステージに置く姿を見る。アンプのチャンネルを確認してボリュームとゲイン、イコライザーなどのダイヤルを調整、ドラムに合わせてギター、ベースの弦を弾くともうそこはいつものBRATSサウンドが広がり、いやが応にもテンションが高まってくる。きたきたきた!!!という感じだ。そしてもう一つ。多くのバンドがリハの時は自らがステージに立ちPAさんとセッティングを行う。「もう少し返しを大きくしてもらっていいですか?」などライブ中に普段は見ることのできないプレイヤーたちのその光景を見るだけでもワクワクしてくるものだが、BRATSのヴォーカル、黒宮れいの場合は少し違う。専属のスタッフがマイクテスト、返しの調整等を行い決して直前のセッティングに本人が出てくることはないのだ。そこから垣間見えるBRATSチームの本気度、スタッフも演者本人たちのかけている熱量、決して妥協しない常にベストパフォーマンスを心がけオーディエンスに最高のエクスペリエンスをという思いを汲み取ることができると言ったら大げさだろうか。しかしフロアから見るスタッフの真摯なプロとしての動きや視線を見ればそう思わざるを得ない。そしてセッティング中の真剣な表情のあや、ひなこが時折見せる屈託のない笑顔が、つまりドラムの爆音が響くステージ上で垣間見えるかわいい女の子の表情からは想像もできないこの後のハードでダイナミックなプレイとのギャップもBRATSの魅力の一つだろう。

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開演時間が刻一刻と近づいてくる。今日は一体どんな世界を見せてくれるのだろうかという期待に溢れる中、ベース、ギター、ドラムの3人がステージから捌けないままフロアの照明が落ちる。まず驚かされたのは復活ライブの時には完全にカラオケだったオープニングSEがシンセストリングスの打ち込み以外が生演奏になっていたことだ。それも完璧なシーケンスで。つまり復活ライブの時にはオープニングSEに合わせて演者が登場したのだが、今回のライブではそれが生演奏になっていたのだ。黒宮れいが登場してマイクの前に立つ。もしやと思ったがヴォーカルを乗せてきた瞬間、鳥肌が抑えられない。単なるオープニングSEと思われていた曲がAnthemという楽曲だったのだ。そして発せられる「こんにちは、BRATSです。」の一言。その一言で全てが伝わったかのようにフロアから歓声が起こる。そして間髪入れずに“アイニコイヨ”の重厚かつ重低音なバンドアンサンブルが痛烈に鳴り響き、否応にもテンションがマックスまで跳ね上がる。強烈で響きわたるヴォーカルと爆音の勢いにフロアは圧倒され、演奏が終わった時点でその場にいる誰一人として声を発するばかりか拍手さえ起きない。まさかの無音。ただただBRATSの尋常じゃない気合の入り方に脳天をかち割られ、立ち尽くすことしかできないといった光景だ。そんなことには全く気にかけずに畳み掛けるように次の曲の“なかったこと”へとなだれ込んでいく。そこには復活後2回目の「迷い」とか「様子見」といったような意識は全くない。一心不乱にエネルギーをぶつけてくる4人。黒宮れいのすべての物をなぎ倒していくような凄まじい牽引力に完全に押し切られてしまっていた。この曲が終わりここでやっと我に帰ったオーディエンスから割れんばかりの喝采と雄叫びがフロアに響き渡る。しかし余韻なんかいらないとまでに吹き出る汗と高揚感に呼応するように繰り出される“脳内消去ゲーム”の鋭く刻まれたビートがオーディエンスに突き刺さる。ここで彼女自身が“脳内消去ゲーム”について「あらま!JAPAN」のインタビュー*1で語っているのを引用しておく。

 

"脳内消去ゲーム"は他のBRATSの曲とはまったく違っていますが、これまでのところBRATSのもっとも強くて正直な表現です。

Rei: It’s not like “Nounai Shoukyo Game” is really different from other BRATS songs, but it’s the strongest and most honest expression of BRATS so far)

 

さらに続けてインタビューではこのように語っている。

私の音楽は「現実の10代の女の子たちの現実だよ」と言っているような気がする。

Rei: I feel that our music says, “Look, this is the reality for current teenage girls.”)

 「10代の女の子たちの現実」と言い切るBRATSの楽曲群の中でも脳内消去ゲームの過去を消すという内容の歌詞はひときわ黒宮れい自身に近い感覚なのかもしれない。

そして。

「IDOL AND READ 009」のインタビュー*2では次のように語っている。

「過去とかどうでもいい。みんな過去にとらわれすぎ。大事なのは今じゃないですか。」

 

れいは昔から芸能活動をしていたけど、それを下に見てた人への復讐行為なんですよ。「こいつはもうダメだ」とか言われてたから、「絶対見返してやろう」と、いい意味で社会に復讐してるんです。

この記事を読んだ後で改めてライブでこの曲を聞くとまざまざと感じてしまう。それは己の中に巣食う感情を、激しさを極めたBRATSのサウンドで放出すること、そしてさらに得体の知れない負のパワーがふつふつと沸き起こり、次のライブの原動力となるというような。特にこの曲は彼女自身の言葉と重なるのか心の底から轟く絶叫に魂を揺さぶられ、恐るべき気迫でステージが展開されていく。エモーショナルなサビが文字通り脳内に鳴り響く“脳内消去ゲーム”が描く、目も眩むほどの黒宮れいの闇と光のコントラスト。その強烈すぎるパフォーマンスを超至近距離で味わうことができるなんてとんでもないことなのだ。相当youtubeで音源を聴き込んできたであろう一糸乱れぬコールをかます一部のオーディエンスと共に完全に一体をめざして上り詰めていく過程は圧巻に尽きた。曲が終わりMCでは必要最低限のCDリリースの情報をとても丁寧に、しかし早口で。はやく次の曲を歌いたいんだ、テンションをそのままに突っ走りたいんだという気持ちが前面に伝わってくる中、MCを終え曲紹介の時に発せられた“Pain”という曲名。彼女自身がそのことを意識してるしてないに関わらずこの「Pain」という単語にこれほどの感情を込められるアーティストを私は知らない。黒宮れい自身が受けたであろう精神的肉体的な痛みにどれだけの時間と深度をかけて向き合ってきたのか想像すらできない。それは目の前を血が流れるような錯覚を起こさせるほどの一言だった。そんな自身の全てを引っ括めて抱きしめたかのような黒宮れいのヴォーカルが、アグレッシブなサウンドとともに力強くWWWの空気を震わせていった。しかしそこに悲壮感など全く感じられない。そこには全身全霊をかけて受けた「痛み」をも愛する力強さしか感じられない。その最高の流れで“正当化プライドモンスター”へ、もう異様としか言えないほどの熱気が渦巻いている。そしてあやとひなこのシンプルでハードなコードが爆走、ぴろしきの激しいキック音を合図にフロアではヘドバンが絶え間なくおこる。楽曲はよりいっそう生々しくなっていき、黒宮れいの絶唱は聴く者の深部をダイレクトに揺るがしてくる。それはまるで渋谷一帯を揺るがす爆心地にいるかのようなとんでもないパフォーマンスだ。続く最後の曲の“きまりごと”はあれだけライヴで消耗しながら一体どこにそんなエネルギーが残っているのかと思うほどの気迫のヴォーカルとアンサンブル。まだまだいける、全然足りないんだという感じがビンビン伝わってくる。終盤になればなるほど勢いにのって攻撃性と破壊力が増していく黒宮れいのヴォーカル。それに激しさを極めた爆音。両者を共に浴びることの快感を全身で感じずにはいられなかった。

 

すべての曲がハイライトと言えるほど濃密なパフォーマンスだった 。まだたった2回のライブなのにこの殺傷能力の高いライブはなんなのか。音源が未発売のなかオーディエンスが完全にBRATSの、とりわけ黒宮れいの恐るべき気迫で狂騒の彼方へ上りつめていく。これがライブを重ねていき仮にワンマンライブを開催となった時に、どれほどビルドアップされているのか。考えただけで恐ろしすぎる。

終始リミッターが振り切れんばかりのテンションのまま幕を閉じたHUGロックフェスでのライブパフォーマンス。一年というブランクを埋めても余りあるほどの、尋常じゃないレベルまでパワーアップしてきたBRATS。しかしBRATSはまだ始まったばかり。ここからさらに勢いを増していくBRATSを、そして黒宮れいの「復讐劇」を、ぜひその目で見届けてほしい。

 

 

 

www.amazon.co.jp


 

*1:BRATS to release new single in June exclusive Q http://aramajapan.com/news/music/brats-to-release-new-single-in-june-exclusive-qa/74621/

*2:昨年12月21日に発売されたIDOL AND READ 009に掲載されている。

ameblo.jp