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黒宮れい中心に大好きな音楽とかストレートに書くよ

LIVE REPORT BRATS No.4 [VERSUS 2] 2018.06.10

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All photo by umihayato 

 

06/10 @ “VERSUS 2” - SET LIST -

1. Anthem

2. 正当化プライドモンスター

3. なかったこと

4. アイニコイヨ

5. 脳内消去ゲーム

6. Pain

7. Lost Place

8. 解放セヨ

9. 決まりごと

- encore-

10.Big Bad World

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 ほぼ1年ぶりのブログ更新でどうやって書き出したらいいのかもわからないほど。

でもそうせざるをえないくらい先日のBRATSのライブは素晴らしかったし、様々な局面があってブログを書かざるを得ないと思ったので書きます。

 

開演前の様子

VERSUSはBRATSの主催ライブで今回は二回目。

一回目は渋谷のTAKEOFF 7で行われた。(そのライブのレポートも記憶があるうちに少しでも書きたいな。)

この日はあいにくの雨。会場のチェルシーホテルの前の歩道は傘をさす多くのファンで埋め尽くされていた。このビルにはチェルシーホテルの他にSTARLOUNGE,MilkyWayといったライブハウスが入居していて同時刻に行われるライブにきたファンでごった返していた。

開場の17:30になると整列などはせず前回のVERSUS1の会場限定の手売りチケットから整理番号順でスタッフが呼び出していく。BRATSを最前で観れるからか呼び出された人たちの表情はいつにもまして楽しそうで、やはり黒宮れいのパフォーマンスを目の前に何に邪魔されないで観れるというのは嬉しいよな〜。なんて思いながら地下一階の会場へと降りていく。入り口で1Drink500円(600円に値上がりしているライブハウスが多い中ここはまだ500円だった)を支払い、恒例の「お目当のバンドは?」というに質問に「BRATSで!」といつものように答えドリンクチケットの白いギターピックを貰い少し薄暗いライブハウスの中へ入る。CHELSEA HOTELは縦に長いライブハウスでステージは若干高めでフロアは中心から一段高くなっているので後方からも観やすそうな印象。

雨なので客脚が遠のくかと心配はあったが開演時間になりトッパーのコトフルになるとフロアはほぼ埋まっていた。前回のVERSUSでもそうだったがBRATSの主催イベに呼ばれるどのバンドも基本勢いがあって実力派揃い。今回の対バン相手もBRATSとは音楽性は異なるものの経験値では圧倒的にBRATSよりも格上のバンドでパフォーマンスは素晴らしかった。コトフルの熱いライブは素直に楽しかったし、羊文学は下北沢サウンドクルージングで観たときの衝撃そのままでこのバンドはきっとこのまま上にいきそうな予感が強く感じられた。

今回の対バンが実現した理由の一つでもある羊のヴォーカルの塩塚モエカとBRATSのHINAKOが同校だったことを塩塚モエカはMCでHINAKOとの思い出話をはじめ一緒にやったバンド「インダス文明」でのライブの思い出話を中心に大いに盛り上がりを見せた。

そのことについてHINAKOはライブ終了後にこのようなツイートをしている。

 羊文学の曲で私は“雨”という曲が好きなんだけど今回のライブで一番印象に残った曲は“踊らない” だったしやっぱりライブに行くとアーティストのその時のフィーリングがダイレクトに伝わってくる。対バンにはこのように新しいバンドとの出会いがあるのも大きな魅力なのだと改めて思った。あらためて素晴らしいバンドと出会わせてくれたBRATSに感謝!

羊文学のライブが終わって客電が点灯したので周りをあらためて見回してみると会場にはサウンドクルージングで見かけたファンの方々をはじめ、いつものメンツもいたし、お久しぶりの人もいたし、話してみて初めてBRATSのライブにきました!という人も多くいた印象で少しずつ幅広い世代に拡大されてきたのを実感できて嬉しかった。

 

その中のファンの方と話してて「実は10月28日の恵比寿リキッドルームでのLADYBABYのライブで初めてれいちゃんを見て、その存在感に圧倒されて今日やっと来れました。」といってくれてて「あの時は二人でしたけど、役者が違うんで仕方ないんですけどもう一人の子はれいちゃんと同じステージに立ってるけど全部持ってかれてて可哀想だなって思いながら見てました」と言っていて、うーーーん、そういう風な感想は初めて聞いたので新鮮に感じた。(これはあちらに伝わるとアレなので内緒にしておいて)

 

開演して直ぐは時間が早かったせいもあってフロア後方は人がまばらな感じだったけれど、BRATSが始まる時間帯になるとほぼほぼフロアはいい感じに埋め尽くされてきて、最近じゃ一番の動員だったような気がする。

今日はどんなセトリなのか、嫌が応にもフロアの期待は高まっていた。それは前日にれいちゃんがツイートしたこの意味深な言葉も追い討ちをかけているかもしれない。

 

ライブスタート

 “Anthem”からスタート。オーディエンスのクラップとミニマルミュージックのようにパターン化された音型を反復させるAnthemの爆音が入り混じってBRATSのライブが始まった。その瞬間解き放たれる黒宮れいのヴォーカル。力強いいつものフレーズが音の洪水の中から突き抜けてオーディエンスへと突き刺さる。

それを聞いて今日の喉の調子は絶好調のように感じた。

黒宮れいの放つ「ジャンプ!!!」の掛け声に合わせてフロアが一斉にジャンプする様は圧巻で皆楽しそうに両手をあげて、身を捩らせながら飛んでいる。

何よりステージ上の3人が黒宮れいを中心に楽しそうにぴょんぴょん飛び跳ねているのだからファンが楽しくないわけがない。

 

 

「こんばんは、BRATSです」といういつもの挨拶からの間髪入れずに“正当化プライドモンスター”の鋭利なギターリフが弾かれる。

ギターの音はその曲を印象つける大切な要素で“正当化プライドモンスター”はいつももっと軽やかなフレーズの印象だったが今日のそれは歪みががった音でいつもよりちょっとだけ歪みが大きくて重かったように聞こえたのはセッティングの関係か。中音から高音へとヴォーカルが気持ちよく伸びていく中、「いくぜ!!!!!!」の煽りに「後のことは知らねぇ!」と言わんばかりに全力で腕を振り、おい!おい!!の大合唱で応えるオーディエンス!

完全にライブ開始早々からテンションがフルテン状態!

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そして次の曲はまさかの“なかったこと”。

これ超レア曲。

歌詞の内容が際どいから絶対に封印された発禁の曲だと思ってたので(アルバムにもクレジットがないので)驚きだったしそういう意味では初っ端から「ミラクル」が起きてしまった。

いろいろあった活休前からBRATSを追いかけてたファンの中にはきっと、私を含め何人かの人は目に涙を浮かべたような気がする。それは「やっと会えたなぁ」と言ったような、どこか懐古的な感動のようなものだったかもしれないけれど。

MCではせいせいしたようにリラックスした表情と嬉しそうな声で笑いながら「こんにちはBRATSで〜〜す」と語尾を伸ばした素顔の黒宮れい

でも直ぐに次の曲をやりたくてしょうがないのか瞬間のMC。思わず「はやっ」って声が聞こえてくるが、フロアも同じ気持ちなのだろう、いまかいまかと爆音を待ち構えている。

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“アイニコイヨ”から“脳内消去ゲーム”のシングル2曲の順番は3月の大阪で復活ライブから数えると4回目で、特に脳内消去ゲームでのオーディエンスとの掛け合いはいつにも増して激しくて「聞こえるように噂して〜」でマイクを客席にむけながら「セイ!!!!」というフレーズは獰猛な勢いの中で一層凄みを増してオーディエンスに迫っていった。

 

「7月25日に初アルバムが出ます!この間やっと作り終えてめちゃめちゃ長い制作期間だったんですけどMVもコンセプトも一から作ったので楽しみにしていてください!」って本当に嬉しそうに報告する笑顔の黒宮れい。プロデューサーの森本さんは完成の日に次のようなツイートをしていることからも本当に異例の制作期間の長さだったのだろう。

 

 

 続く“Pain”ではHINAKOが髪を振り乱しながら激しいプレイを見せる傍らで、黒宮れいが丁寧に感情を込めてゆくスリリングなステージで一瞬たりとも目を離すことができない。

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 “Lost Place”では自分の心を抉りながら、かたちのない感情に名前を与えるように紡いだ彼女自身の作詞から繰り出されるフレーズの一つ一つ。それに決して執着することもなく、しかし一つも捨てることもなく毅然と向き合ってきた黒宮れいの成長した姿が美しく眩しすぎた。間奏の時に不意に後を向いて突然絶叫したあの声の鬼気迫る感情の発露は私の背筋を凍らせるには十分すぎたしそこに込めた彼女のギリギリの感情、さまざまな感情が爆風の如く体と心を吹き抜ける。圧巻のアクト。

そして一瞬の新アルバムのMC。決して饒舌ではない黒宮れいだけに、話題はあまり続かない。「ラスト2曲行きます!」と、すぐにライブは再開された。

ビートをザクザクとギターで刻む中、右手を突き上げながら熱唱した“解放セヨ”。右手の拳を強く握りしめ突き上げながら歌う姿はレジスタンスを率いる力強いリーダーの姿を彷彿とさせる。権力、束縛、監視からの解放、気持ちの全てをぶつけるその姿は本当の自由と解放とは何かという答えを模索し求める黒宮れいそのものだった。

全身を痛いくらいに刺激する爆音の向こう側からグッと来るメロディが迫ってくる“決まりごと”。BRATSのどのライブもラストは絶対にこの曲。ライブの終盤、全身の熱量を絞り出すようにして突き上げるその凄絶な姿、あやの熱く沸き立たせていくベースが素晴らしすぎてこのまま無限のサイクルで聞いて居たかった。

こうして本編のライブは終了した。

しかしメンバーがステージからはけても拍手は鳴り止まない。

アンコールに応えるために出てきた黒宮れいが嬉しそうに裏話を話す。

「今日は主催なので尺が45分のところ35分と勘違いしてしまって、32分のセトリを組んで時間がめっちゃ余ったので一曲歌って帰りたいと思います〜」(場内爆笑)

そして、アンコールでは“Big Bad World”が。今はバラードは歌いたくない、全力で駆け抜けたいと言っていた黒宮れいが妥協できるギリギリのミドルバラードなのだろうか。

スタンドマイクをしっかりと握り微動だにしないで前を見据えて、人を殺しそうな目でとにかく精一杯の力を振り絞る。これでもかとぶつけてくる。どこにそんな力が残っていたのかと思うほど。

 いつも思うのだがBRATSのライブはほとんど間断なく、「体力配分って何ですか?」みたいな勢いで猛烈なナンバーを次々に畳み掛けてくる。特に今回のVERSUS 2は発表されている曲10曲全ての楽曲を並べて攻撃力の高い順に選んだみたいな、ものすごいセットリストだったし、そんな意気込みのこもったライブだったように思う。

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 アーティストは、ただでさえ会場ごとの音作りなど環境の変化に対応していかなければならず、体調管理も大変だと思うし、復活後の手探りのような状態で重ねてきた荒業のようなライブも少しづつ納得のいくステージになってきたのか最近の黒宮れいはライブでだいぶ笑顔が見られるようになってきたしリラックスできているようにも見える。 

BRATSで歌う黒宮れいを見て思うこと

それはなお諍う姿、生々しい生きザマをこれでもかと感情とともに言葉に込めてマイクを通してぶつけてくる。自らの心の中で整理して昇華させることなくそのままをぶつけてこれるのは今の黒宮れいにしか表現できないこと。それはある人にとっては不快に見えるかもしれない。ショーとしては不完全かもしれない。でも彼女はロックをしている、完璧なんて関係ない。もやもやとした鬱屈とした負の感情をそれこそステージでライブでこれでもかとオーディエンスにぶつけてくる。それが強すぎる故に拒否反応を起こしす人もいるだろうなと、思うほど。でもそれこそが今の現在進行形の黒宮れいと思った。完璧なショーを求める人にはその姿は独りよがりに見えるかもしれない。しかし新しいフェーズに入った黒宮れい体感するのは今しかない。それを見逃すなんてこの世界で生きてる意味なんてないって思うほど。受け止めきれない観客もいるだろう。でも若干17歳、17歳が全てをかけて死ぬ気でそれを証明すると宣言した言葉のままに見えない何かに向かって必死になって進む姿を誰が否定できるだろうか。

 

 

 

今、黒宮れいには届けたいメッセージがあるのだと思う。そのために選択したBRATSは刺激的なサウンドを生み出し、彼女の紡ぐ歌詞は同性にこそ届くものだし、同世代の女子に好かれる彼女は本当にかっこいい。 

  

 反骨精神剥き出しの今回のステージ、復讐はまた一歩進んだのだろうか。

 

 

 

 

 

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