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黒宮れい中心に大好きな音楽とかストレートに書くよ

LIVE REPORT BRATS No.5 [Milkyway] 2018.07.07

 

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All photo by umihayato

BRATS 07/07 LIVE @ Milkyway

- SET LIST -

1.Anthem

2.Pain

3.脳内消去ゲーム

4.なかったこと

5.正当化プライドモンスター

6.解放セヨ

7.決まりごと

 

 

 

MilkywayでのBRATSのライブレポになります。

今回のライブはINTERAGEの始動ライブのゲスト。(詳細は知らないがBaのあやが学校でお世話になっていた先輩が組んだバンドらしい)

 一言で言えば「戦慄の25分」だった。

Anthem

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今回のライブはオープニングのAnthemから完全に強烈だった。フロアは前のバンドの盛り上がりで暖気は十分。Anthemのイントロが流れても後ろを向いた3人はなかなか前を向かない。しかし切れのあるドラムのリズムとフロアのクラップが一体となり、そこにいつもより強烈なディストーションの効いた音圧が一段上がったHINAKOの荒削りなギターが空間を切り刻むように奏でられる。次の瞬間に3人が一斉にこちらを向き戦闘開始だ。ヴォーカルの黒宮れいの一段とドスの効いた歌声がライブハウスを支配する。いつもなら「ジャンプ!!ジャンプ!!」としか煽らない黒宮れいだがこの日は違った。「飛べ!!飛べ!!!!」と何度も煽られたフロアは皆一様に最高の笑顔で身をくねらせ頭を振り、髪を振り乱しながらジャンプしていた。この時点で完全にテンションは加熱する一方だ。(あと黒宮れいがこの時に長文で煽ってたけど「こんどのXXXXはXXXXXで飛ぶぞ〜!!!」しか聞き取れなかった!)

そしてライブを重ねていく度に細かな進化や変化があるのがBRATSのライブのすごいところなのだが、今回のAnthemでは「アウア、ア、ア、ア、ア、アウア!」の時にギターでメロディを被せてきてたのが最高にかっこよくって、overtureとして極上に仕上がっていた。オープニングだけで沸きに沸かせるキレのいいリズムとパーティ感あふれるステージング!これがBRATSのライブなんだとみるみる一体感を高めていく!フロア全体でする盛大なジャンプアップが楽しいし最高だ!

Pain

畳み掛けるようにPainへ!作詞を黒宮れい自身が手がけた曲。感情を剥き出しにしながら世界に挑んでいく彼女の捨て身ともいえる魂の言葉が、歌声が垂直に脳天に落ちてくるような感覚を味わった。この曲が会場の全ての人の闘志に火を点けたかのようだった!わずか2曲でこの夜の完勝を確信してしまった。

脳内消去ゲーム

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そして脳内消去ゲーム!すでにオーディエンスも気合十分。いつもこの曲ではれいが「一緒に歌おうぜ!!」って感じで「人の言うことばっか聞いて〜 Say!!!!」って笑いながらマイクを向けてくるのを過去のライブで経験して知っているファンは皆、精一杯声を張り上げる!最前にいた女の子はこの時にれいに頭を抱え込まれ一緒に歌うというにわかには信じられないような光景がちょうど二列目にいた私の目の前で繰り広げられていた。

その自由すぎる黒宮れいのライブパフォーマンスは彼女の底知れない可能性を感じるには十分すぎたし、見るからに絶好調なはしゃぎっぷりが最高だった。(ライブが終わった時に「ねえ!あの時何が起きてたの??」って聞いても完全に放心状態の彼女の顔は今でも忘れないw)

MC①

「今日はINTERAGEさん呼んで頂いてありがとうございます!今日初めましての人が多いと思うんですけど一緒に盛り上がって頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします。BRATSは7月25日にアルバムがでます。それでは次の曲聞いてください、なかったこと」

れいのコメントが終わる度に起こるファンの過剰とも言える歓声が今日のライブの異常に高いテンションをさらに盛り上げる。心なしかMCがいつもより勢いがあったように感じる。

なかったこと

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前回のやついフェスで突然復活した曲のなかったことが今回もセトリに入ってた。MCを聞いて底抜けに楽しそうなオーディエンスたちはイントロから煽られるまでもなく腕を大きく振りながら「おい!おい!おい!」と勢いのままに高揚感の彼方へとさらにテンションを押し上げていく!この時点で思わず笑っちゃうくらいとんでもなくカオティックな熱量!いきなり超弩級の熱気を生み出していた。

正当化プライドモンスター

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そして正当化プライドモンスターへ!ステージで叫び上げる黒宮れいの声は鬼気迫るテンションに満ちている。最高にかっこいいドラムス、そしてそのリズムにグイグイと引っ張られるように全ての音がそのテンションに応える!「あたま!!!」という黒宮れいの絶叫を合図にフロアもステージ上の演者も一斉に狂乱のようにヘドバンを決める様は圧巻だしそれが最高に気持ちいい。黒宮れいの口から紅蓮の炎が吐き出されているのか!と思うほどの歌声でオーディエンスの身体も魂も完全にその炎で燃え上がってしまっていた。彼女の歌声がロックの戦場へとMilkywayを丸ごと叩き込んだ。

MC②

歌い終わり大きく息を切らせながら、でもいつもより楽しそうに告知をする。「BRATSは7月8月はライブが多いので気になった方は公式のホームページなどでチェックしてみてください!ラスト2曲行きます!解放セヨ」

切らせた息を整えることなくすぐさま解放セヨへ

解放セヨ

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もうオーディエンスはわかっている。みんな黒宮れいと共に「Oh!Oh!Oh!」って歌えることを。「歌え!!」って煽られる前に歌う、歌いたいんだって意思が表情になってしまう、思いがけず右手の拳を突き上げてしまう、自然と声を荒げてしまう。それを感じた黒宮れいは一人一人の顔を確認するように丁寧にレスを送りながら本当に嬉しそうに歌っていた。そして、時折まだ歌うのを躊躇してしまう人に向かって「はい、歌って!!」と親しげに呼びかけるのだ。するとどうだろう、れいの呼びかけが呼び水になってより一層大きなうねりとなったオーディエンスの叫び声がステージを飲み込み一つになろうとする。

アーティストとファンの絆をより強いものとしていく。最高。解放セヨに巻き起こるシンガロング!それを体験してしまった今、アルバムが発売されたらみんながそれぞれ好きなフレーズを覚えて共に歌う姿を容易に想像できるしそんな光景が近い将来、7月25日以降見られるかもしれないと思うとゾクゾクしてくる。

黒宮れいがアイドルをやめて生まれ変わったBRATSで最初に作られた曲だからか黒宮れいのその生き様と覚悟を、その当時生まれた数多くの悲しみや苦悩に対する一つの答えを、今日のこの曲の熾烈なアクトがすべて物語っていた。

決まりごと

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あやのベースがひたひたと身を隠すようにしかしその存在感は暗殺者が心の奥底に秘めた殺気を決して悟られないようにしながらターゲットを狙う時のように迫ってくる。その音は最後の曲で全てを巻き込むダイナミックなパフォーマンスへの布石。BRATSのライブの最後はいつもこの曲だ。そして放たれる「ラスト、きまりごとうおおおおお〜!!!」という黒宮れいのこの曲名の特徴的な言い方はいつでも最高だ。オーディエンスもラストの曲に全てをかけて声を張り上げる!聴く人のすべての鬱屈を溶かしていくような解放的なメロディ!!BRATSのライブはラストの決まりごとで極点を迎えるのだが、それがわかっていても今日のライブでのその破壊力に誰もが驚嘆を禁じ得なかったはずだ!

 

そしてこの日のライブ前に、黒宮れいは次のようなツイートをしていた。

 

一回しかねえんだよ。今日は一回しかねえんだよ。変わらない日常なんてない、変わらない世界なんてない、今しかない。今生きている瞬間が全てだからさ。だから最高のライブをやって最高の空間を作っていく!!!!

(こんなこと全然言ってないけれど)

そんな強い思いが、確かにそこに懸ける強い思いが今日のBRATSのライブから感じることができたし伝わってきた。それは「勢い」とか「気概」という概念をそのままライブにしたかのよう。

そんなBRATSのライブを是非ダイレクトに体感してみて欲しい。

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戦慄の25分 

 7月25日のアルバムリリースの前と後では気持ちは全然違うと思う。つまり8月に予定されているワンマンライブのゲネともいえるアルバム再現ライブとゲストで呼ばれた今回の対バンとではセットリストは当然のこと、戦い方も体力配分も違うはずだ。なのに、このクオリティである。勢いに乗った時の黒宮れいは手がつけられない。しかし逆に言えば勢いに乗れないときは‥

経験を積むことでアベレージは上がっていくだろう。もしかしたらそういうところもこれからの課題の一つなのかもしれない。

BRATSのライブを見ていて最近感じること

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アイドルをやめて何を見て何を考えたのか、そもそも何を求めていたのか、ということ。そんなことは彼女以外にわかる訳がないがそれでもなおライブを見ると考えざるを得ない。なぜなら黒宮れい自身がそれを自覚していない限り何も「見つける」ことはできないだろうし、見つけることができたからこそ今の黒宮れいがいるのだから。

黒宮れいの「加工」されていない生の言葉。決して聞き逃すことのできない一つ一つの言葉は多くの示唆を含んでいる。だからBRATSの歌を聞いていると黒宮れいの言葉の重さに打たれると同時にこちらの甘さを責められるように感じる時があり、その意味ではライブ後の余韻としては少々つらい時もある。

 

しかしアルバムが発売されて歌詞カードを目の前にした時、何度問うても何度考えても歌詞の全貌はきっと掴めないのだと思う。解き明かせない謎だからこそ人は黒宮れいにとらわれ、惑わされ、依存するのかもしれない。

 

速い言葉は飛躍する感興を呼ぶし遅い言葉は冗長だから深遠な思想を語るに適している。望ましい言葉の速度に決まりはないけれど、黒宮れいの歌うどの歌も言葉の速度に関わらずBRATSのサウンドはどれもアクティブで刺激的だ。それを一本調子だと切り捨ててしまえばそれまでだが、あえて貫くそのスタイルから見えてくるものは何かと考えた時に、やはり黒宮れいの気持ちが自分の生きた時代を刻印するように歌詞に込められているからではないかと考えてしまう。

疾走と停滞、大胆と小心、怒りと悲しみといった一見相反する要素や感情がその言葉たちを通過する。個人的な抒情にこだわり逡巡しながら世界を掘り下げていくのが今の黒宮れいの姿なのかもしれないと。

 

※なおアルバム発売にあたってメンバーのロングインタビューがこちらに掲載されています。BRATSの世界観、普段なかなか聞くことのできない貴重なインタビュ ーになっています。

 

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